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ユネスコスクールガイドライン

平成24年8月20日
日本ユネスコ国内委員会

ユネスコスクールガイドラインについて

はじめに
ユネスコスクールは、ユネスコ憲章1に示されたユネスコの理想を実現するため、昭和28(1953)年に創設され、
1.地球規模の問題に対する国連システムの理解
2.人権、民主主義の理解と促進
3.異文化理解
4.環境教育
といったテーマについて、質の高い教育を実践する学校です。特に、我が国では、持続発展教育(ESD)の普及促進のためにユネスコスクールを活用することとしております。
本ガイドラインは、既加盟のユネスコスクールがより充実した活動をし、また今後加盟予定の学校等が効果的な活動を立案するために、重要と思われる事項をまとめたものです。このガイドラインを参考に、今後より一層、ユネスコスクールの活動の質が向上し、ひいてはユネスコスクールが持続発展教育(ESD)の推進拠点として発展することを期待いたします。
  • 「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない(憲章前文)」
    ユネスコは、この憲章前文にあるように、諸国民の教育、科学及び文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の共通の福祉の促進を目的として昭和21(1946)年に創設された国際連合の専門機関です。この目的は、我が国国民の深い共感を呼び、日本は昭和26(1951)年に加盟しています。
  • 現在、世界181か国に9,000校以上のユネスコスクールがあり、全世界的なネットワークを形成しています。ユネスコスクールはそのネットワークの活用による世界中の学校と生徒間・教員間の交流を通じ、情報や体験を分かち合うこと、新しい教育内容や手法の開発、発展を目指しています。日本は、制度発足当初から、ユネスコスクールの活動に取り組んできました。平成24(2012)年8月現在、日本国内のユネスコスクール数は、459校にまで増加しました。
  • 平成20(2008)年2月に本委員会に設置された検討会の提言によるものです。平成17(2005)年にユネスコを主導機関として開始された、「国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」に関する我が国の取組の一環です。
  • 現時点でユネスコスクールの活動が必ずこれらの全てに沿って実施されていなければならないという性格のものではありません。
  • 毎年1回、活動報告書を日本ユネスコ国内委員会事務局に提出することとされています。
  • ユネスコスクールのパートナーとして、ユネスコスクールの活動を支援する大学のネットワーク

ユネスコスクールとして大切なこと

ユネスコスクールの活動には、次のようなことが大切ですので、各学校におかれては、これらの点を念頭において活動いただくことを期待しております。
  • 国内外のユネスコスクール相互間のネットワークを介して、互いに交流相手の良さを認め合い、学び合うこと。
  • 地域の社会教育機関、NPO等との連携などを通じて、開かれたネットワークを築くよう努めること。
  • 校内外における各種研修の充実・活用を図るなど、ユネスコスクールの活動を通じて広く学校外にも働きかけ、我々人類社会が持続的に発展するよう心がけること。
  • 学校経営方針等にユネスコスクールの活動に取り組むことを明確に示し、学校全体で組織的かつ継続的にユネスコスクールの活動に取り組みやすくすること。
  • ユネスコスクールの活動を自らの学校評価の項目に盛り込み、活動の質の向上に努力すること。
  • 必要に応じ、ASPUnivNet※6加盟大学をはじめとする高等教育機関の支援や協力を得ながら、ユネスコスクールの活動の充実に努めること。

持続発展教育(ESD)推進拠点として大切なこと

ユネスコスクールが持続発展教育(ESD)推進拠点として発展していくには、次のようなことが大切ですので、各学校におかれては、これらの点を念頭において活動いただくことを期待しております。
  • 持続発展教育(ESD)を通じて育てたい資質や能力を明確にし、自分で、あるいは協働して、問題を見出し解決を図っていく学習の過程を重視した教育課程を編成するよう努めること
  • 合的な学習の時間を中心とした教科横断的な指導計画を立てるなど、指導内容を適切に定め、さらに、指導方法の工夫改善に努めること。
  • 持続発展教育(ESD)の推進拠点として、研究・実践に取り組み、その成果を積極的に発信することを通じて、持続発展教育(ESD)の理念の普及に努めること。

持続発展教育(ESD)とは、持続可能な社会づくりの担い手を育む教育であり、その中には、国際理解、環境、多文化共生、人権、平和、開発、防災などのテーマ・内容が含まれます。従って、持続発展教育(ESD)で取り上げるテーマ・内容は必ずしも新しいものではありません。むしろ、それらを持続発展教育(ESD)という新しい視点から捉え直すことにより、個別分野の取組に、持続可能な社会の構築という共通の目的を与え具体的な活動の展開に明確な方向付けをするものです。また、それぞれの取組をお互いに結び付けることにより、既存の取組の一層の充実発展を図ることを可能にします。

持続発展教育(ESD)の実施においては、「人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと」や、「他人、社会、自然環境との関係性を認識し、関わり、つながりを尊重できる個人を育むこと」の観点が必要です。

持続発展教育(ESD)の理念は、現行の教育振興基本計画(平成20年7月策定)に盛り込まれていますし、学習指導要領(平成20年、21年公示)で示されている「生きる力」という理念にも通ずるものです。